海の生き物
2024年05月31日

ダイビング中にサメの危険はある?事故防止対策と安心できる理由を解説

映画などで人がサメに襲われるシーンを見て以来、ダイビングに行くのが怖くなってしまったという方もいるかもしれません。ダイビング中にサメに襲われるという事態は本当に生じるのでしょうか?実情と対策を知れば、安心してダイビングに臨むことができるはずです。この記事では、ダイビング中のサメの危険は本当にあるのか、また事故防止対策と安心できる理由を解説します。

ダイビング中のサメの危険は本当にある?

ダイビングを躊躇してしまう理由の1つとして、「サメに遭遇するのが怖い」という人もいるかもしれません。ダイビング中のサメの危険は本当に存在するのでしょうか?ここでは、海外と日本に分けて実際に起きた事例から解説します。

  •  海外の事例
  • 日本の事例

海外の事例

2022年にサメによる事故が最も多く起きたのはアメリカで、41件が報告されています。そのうち、死亡事故は1件です。次に多いのがオーストラリアの9件ですが、死亡事故は起きていません。海外でサメの事故が起きやすい場所は海岸近くで、サメが干潮時に閉じ込められる砂州で多く発生しています。一方で、世界的にはサメによる事故の減少傾向が見られます。2022年のサメからの攻撃により起きた事故は世界全体で57件でした。2017年から2021年の年間平均70件と比べると大幅に減少したといえます。

日本の事例

日本では、1992年3月に愛媛県松山市でサメによる死亡事故が起こっています。サメに襲われて亡くなったのは、水深22メートルで漁をおこなっていた潜水漁師です。咬み跡や周辺の出没情報などから、ホオジロザメが襲ったものと見られています。日本におけるサメによる死亡事故の数は1995年から2014年で4件と記録されています。そのうちダイバーの死者はおらず、国内においてはダイビング中の死亡事故の事例は確認されていません。

人を襲う可能性のあるサメの種類

サメには様々な種類のものがおり、中には人を襲うものと襲わないものがいます。ここでは、人を襲う可能性のあるサメの種類を解説します。

  • ホオジロザメ
  • イタチザメ
  • オオメジロザメ

ホオジロザメ

ホオジロザメは、獰猛なサメとして有名な映画「ジョーズ」のモデルとなったサメです。体長4〜5mなのが一般的ですが、大きい個体では体長7mを超えるものもいます。口には鋭いのこぎり状の歯を持っており、噛む力もとても強いです。水中に落ちた1滴の血液でもかぎ分けられるほどの鋭敏な嗅覚も持っています。

イタチザメ

イタチザメは熱帯や亜熱帯に生息し、日本では関東以南の海域に生息するサメです。イタチザメは臆病でありながら獰猛な性格をしており、時には人間を襲うこともあります。特殊な形状に発達した歯を持っており、カメや甲殻類の甲羅を砕いて食べることもできます。

オオメジロザメ

大メジロザメは、熱帯や温帯の海域に生息します。国内では沖縄より北側には生息していないとされていますが、宮崎県大淀川の河口で発見された事例もあります。オオメジロザメは、好奇心旺盛かつ攻撃的な性格をしているため、人が近づくと危険とされています。本来人間を襲うことは少ないですが、河口や入り江によく出入りしているため、遊泳中の人を好奇心から襲う可能性があり注意が必要です。

ダイビング中サメに襲われないための対策

ダイビング中サメに襲われないためには、以下の対策をとることができます。

  • エサになるものを持たない
  • 自分をエサと認識させない

エサになるものを持たない

ダイビング中は、水中生物の採取は禁じられています。このルールに従うことは、サメに襲われることを防止するのにも役立ちます。水中生物を捕まえて持ち歩いていると、サメがエサを狙って攻撃してくる可能性があり危険です。

自分をエサと認識させない

サメは弱っていたり、溺れていたりする生物をエサと認識し襲ってくる場合があります。水面で水しぶきをあげる動作をすると、エサの対象となる生物とみなされる可能性があります。水面付近にいるときは、手をばたつかせるなどの動作をしないように注意しましょう。

ダイビングでサメと遭遇したら気を付けるべきこと

ダイビング中、サメと遭遇してしまったらどうすれば良いのでしょうか?襲われないようにするためには、以下の点に気を付けてください。

  • 背を向けない
  • 目線を外さない
  • 激しい動きをしない

背を向けない

サメはエサと認識した生物を襲う性質があります。サメと出会ったとき、背を向けて逃げようとするとサメを刺激し、捕食対象として見られる恐れがあります。ダイビング中サメと遭遇しても、背を向けずにそのままサメが過ぎ去るのを待ちましょう。

目線を外さない

サメと遭遇した時は、目線を外さないことも大切です。目を合わせたままゆっくりと後ずさりし、少しずつ距離を取ります。重要なのはサメを刺激させないことです。

激しい動きをしない

前述の通り急な動きや余計な音などが起こると、サメから弱っているエサと認識されます。恐怖のあまり突然浮上しようとしたり、手足をばたつかせたりすることは避けましょう。

ダイビング中のサメを恐れすぎる必要はない理由

ダイビング中にサメによる事故に遭う可能性は全くないとはいえないとはいえ、過度に恐れる必要はありません。サメを恐れず安心してダイビングを楽しんでも良い理由として、以下の3つが挙げられます。

● サメは臆病
● サメにとって人間は美味しくない
● 人を襲う種類のサメのほうが少ない

サメは臆病

基本的には、サメは臆病な生物です。サメは本来人間を狙っているわけではなく、よく映画のシーンであるような人間を執拗に襲ってくる姿は誤りです。多くの場合は人間を見かけたらすぐに逃げてしまうため、恐れるには及びません。

サメにとって人は美味しくない

サメの器官には味蕾が備わっており、食べるべきエサとそうでないものを見分けることができます。人を食べてもサメにとっては美味しくないため、人を狙って襲ってくることは基本的にはありません。動きや音によって瞬間的にエサと誤解させないように注意すれば、事故が起こることを避けられます。

人を襲う種類のサメのほうが少ない

サメというと怖いイメージがあるかもしれませんが、たくさんの種類のサメのうち、人を襲う種類のほうが少ないです。世界には約500種類のサメが生息していますが、そのうち人を襲った報告があるのは30種類ほどで、10分の1以下です。反対に、おとなしい性格のため観察を楽しむのに適している種類のサメもいます。

見て楽しめるおとなしいサメの種類

サメのなかには怖いものだけでなく、ダイビング中見て楽しめるおとなしい種類のものも数多くいます。以下のサメは、ダイバーから人気のサメです。これらのサメを求めて遭遇できるスポットに赴くダイバーも少なくありません。ここでは、それぞれの特徴や魅力を解説します。

  • ハンマーヘッドシャーク
  • ドチザメ
  • トラフザメ
  • ジンベエザメ
  • ネムリブカ

ハンマーヘッドシャーク

ハンマーヘッドシャークとは、その名の通り頭部がハンマー状の形をしたサメです。日本では、夏から秋にかけて遭遇率の高い神子元島のスポットが人気です。100匹以上の大きな群れで行動することもあり、圧巻な景色が見られる時もあります。比較的おとなしく、臆病な性格をしているのもハンマーヘッドシャークの特徴です。

ドチザメ

ドチザメは水温の低い場所を好んで生息するサメで、日本周辺では北海道から九州、朝鮮半島周辺で見られます。体長は1.5m程度と小柄で、小型の魚類をエサとしています。単独で生息していることが多いですが、時には群れている姿も見られます。ドチザメは胎生のため、繁殖シーズンには親とそっくりの姿でミニサイズの可愛い赤ちゃんの姿が見られるかもしれません。

トラフザメ

トラフザメは浅いサンゴ礁に生息するサメで、虎斑模様が特徴的です。夜行性のため、日中のダイビングの際は水底で寝ていることが多いです。貝や甲殻類を捕食するおとなしい性格で、水族館では飼育員に甘える可愛い姿が見られることもあるサメです。

ジンベエザメ

ジンベエザメは、最大全長は20mに達する個体もいる世界最大のサメです。世界中の海を回遊しており、日本では沖縄や伊豆半島、房総半島などに出没することがあります。大きな体を持ちますが、捕食対象は大量のプランクトンやオキアミなどで、とてもおとなしい性格です。歯もとても小さく、海水と一緒に吸い込む形でエサを食べます。

ネムリブカ

ネムリブカは、熱帯域の浅いサンゴ礁に生息するサメです。ヒレの先端が白いことから、英語名では「ホワイトチップシャーク」と呼ばれています。岩陰や洞窟の水底にじっと潜んでいることが多く、体も最大1.6m程度と小さめです。

まとめ

ダイビング中にサメに襲われた事例は海外ではわずかに発生していますが、日本では記録されていません。ダイビング中サメに遭遇したら、エサと間違われないようサメを刺激する行動を避けることが大切です。サメには数多くの種類がいますが、大半は人を襲わないおとなしい性格をしています。おとなしい種類のサメを観察しに遭遇スポットへ行くのも、ダイビングの楽しみ方の1つです。

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