ダイビング直後に飛行機に乗ってはいけないのはなぜ?注意点を解説
日数の限られた休日でダイビングをすると、移動時間がギリギリになってしまう場合があります。しかし、ダイビング直後は飛行機に乗ってはいけないことをご存じでしょうか。
安全にダイビングを楽しむためには、余裕を持った計画が大切です。この記事では、ダイビング直後に飛行機に乗れない理由と、安全のための注意点を解説します。
Contents
ダイビング直後は飛行機に乗ってはいけないと言われる理由
ダイビング直後は飛行機に乗ってはいけないと言われるのは、減圧症にかかる可能性があるためです。ここでは、減圧症について詳しく解説します。
減圧症とは?
減圧症とは、水圧や気圧が体にかかったときに体内の窒素の排出が間に合わず、気泡となって血管や中枢神経を傷つけてしまう状態のことです。ダイビングでは、シリンダーから空気を吸い込んで呼吸します。空気中に含まれる窒素は、深度が高いほど体内へ吸収されやすくなります。潜水時に体内に残留した窒素は自然に排出されますが、急浮上すると排出が間に合わずに起こるのが減圧症です。
また、体内の窒素は完全に排出されるまでに時間がかかるため、地上に上がってからもしばらくは残ります。このとき、飛行機に乗ると急激な気圧の変化が起こるため、やはり減圧症にかかる原因となります。
減圧症の症状
減圧症の症状の代表的なものには、以下が挙げられます。
- 関節や背中、筋肉の痛み
- かゆみや皮膚の斑点
- リンパ節の腫れ
- 極度の疲労感
- 腕や脚のしびれ
- 頭痛
- 発話困難
- 回転性めまい
- 耳鳴り
- 難聴
- せき
- 呼吸困難
減圧症の症状は、軽い症状から現れ始め、時間をかけてひどくなるのが一般的です。重症化すると、後遺症や命の危険まであるため、注意を払わなくてはなりません。
減圧症の予防でできること
飛行機に乗らなくても、ダイビング後は減圧症になるリスクがあります。減圧症にかからないための予防策として、以下の点を心がけましょう。
- 日頃から体調を整える
- ダイビング前日と当日の体調に注意する
- 無理なダイビングをしない
日頃から体調を整える
減圧症は血流と関係があります。肥満気味の方や運動不足の方は血流が悪いため、減圧症になるリスクが高くなります。日頃からダイエットをしたり軽い運動をしたりして、体調を整えておくことが大切です。
ダイビング前日と当日の体調に注意する
飲酒は血流に影響を及ぼすため、ダイビング前日は避けたほうが良いでしょう。また女性の場合、生理前や生理中は減圧症にかかりやすくなります。ダイビング前日と当日の体調の変化は、とくに敏感に見守り、無理をしないようにしましょう。
無理なダイビングをしない
いきなり深く潜ったり、急浮上したりすると、減圧症にかかりやすくなります。とくに水面の浅い場所ほど水圧が変わりやすいため、浮上の際の安全停止は重要です。初心者の方の場合は、インストラクターの指示に従って、無理なダイビングをしないよう注意しましょう。
減圧症になってしまったら
窒素の排出速度には、個人差があります。十分に休息時間を取ったつもりでも、減圧症になってしまう場合があります。減圧症の症状は初めは軽度でも、急激に重症化する場合があるため、初期症状の時点で病院へ行くようにしましょう。
減圧症の症状が出ると一人で対応するのは難しいため、ダイビング後はなるべく一人で行動をしないほうが安心です。
ダイビングから飛行機に乗るまでどのくらい空ければいい?
1日に1回ダイビングをする場合は、12時間ほど空けてから飛行機に乗ることが推奨されています。また、1日に複数回、連日のダイビングをする場合は、18時間以上空ける必要があります。窒素の排出速度には個人差があるため、体調を見守ることも大切です。不安な場合は24時間以上空けると、より安心です。
飛行機搭乗直後のダイビングは?
反対のパターンとして、「飛行機の搭乗直後にはダイビングをしてもいいのか」という疑問を持たれるかもしれません。先に飛行機に乗る場合、窒素が体に留まることはないので、減圧症の恐れはありません。ただし、飛行機搭乗直後は移動による疲れや、エコノミー症候群などがある可能性があります。体調不良でのダイビングは危険ですので、ゆとりを持った計画を立てましょう。
飛行機以外にもある!ダイビング直後にしてはいけないこと
減圧症の原因となるのは、飛行機搭乗だけではありません。ここでは、飛行機搭乗以外でダイビング直後におこなってはならないことを解説します。
- 山登り
- 体温を急激に上げる
- 過度の飲酒
- 激しい運動
- 深部組織マッサージ
山登り
自然の豊かな場所にダイビングに行く場合、海の次は山を楽しみたいと思われるかもしれません。しかし、飛行機と同様、山登りも気圧の変化を受ける場所に行くことになります。ダイビング直後に山登りをすると減圧症のリスクがあるため、時間を空けるようにしましょう。目安としては、標高400m以上の移動は避けるのが無難です。
体温を急激に上げる
体が冷えているときに体温を急激に上げると、溶解した窒素が気泡化し、減圧症が起こりやすいと言われています。とくに無減圧潜水の可能時間ギリギリのダイビングをした場合、体には大量の窒素が溜まった状態になっています。安全のためにサウナや熱い湯船は避け、温かめのシャワーで済ませるのがおすすめです。
過度の飲酒
過度の飲酒は、脱水症の原因となります。脱水症で血液の粘性が高くなると、減圧症発症のリスクが上がります。ダイビング後に飲酒する場合は適量を心がけ、飲酒前にしっかりと水分補給するようにしましょう。
激しい運動
ダイビング後の激しい運動は、体内に急速に気泡を発生させ、減圧症の原因となるため避ける必要があります。とくに腹部に力を入れるような運動は、胸の内部圧力を高めます。運動を止めた瞬間に気泡が動脈に流れ、脳まで運ばれて神経障害を起こす恐れがあり危険です。
深部組織マッサージ
深部組織マッサージとは、筋肉に強い圧を与えるタイプのマッサージです。マッサージによって減圧症が引き起こされる明確な関連性は証明されていませんが、血流の変化により気泡が形成される可能性が考えられます。ダイビング後にマッサージをする場合は、弱めの力でおこなうようにしましょう。
ダイビング後おすすめの楽しみ方
減圧症のリスクを減らすためにも、ダイビング後は急いで帰宅するのではなく、ゆったりとした時間を持つことをおすすめします。ここでは、ダイビング後におすすめの楽しみ方を4つご紹介します。
- ホテル周辺の散策
- 地元の海鮮を食べる
- 水中写真を眺める
- 星空を眺める
ホテル周辺の散策
ダイビング後に元気があれば、ホテル周辺を散策してみるのがおすすめです。日常から離れた環境で散歩すると、リフレッシュ効果が得られるはずです。日中ダイビングをした後、海辺の日没や夜景を眺めるのも趣があるでしょう。
地元の海鮮を食べる
ダイビングスポットの近隣には、おいしい海鮮のお店が多くあります。地元の海鮮を楽しむのも、醍醐味のひとつです。ダイビングは多くのエネルギーを消費するため、ご飯がおいしく感じられるはずです。
水中写真を眺める
ダイビング中に撮った水中写真を眺めるのも、余韻に浸る素敵な時間になります。ダイビング後の空き時間を利用して、写真の整理や編集をするのも良いでしょう。
星空を眺める
都会では見られないような星空を眺めるのも、ダイビングスポットでの楽しみのひとつです。浜辺に寝そべって星空を眺めると、日頃のストレスが忘れられるかもしれません。星座を探したり、星空の撮影をしたりするとより楽しめるでしょう。
まとめ
ダイビングの後、最低12時間は飛行機に乗ってはいけない理由は、減圧症にかかるリスクがあるためです。減圧症とは、潜水時に体内に溜まった窒素が、急激な気圧の変化で気泡化し、血管や神経を傷つけるものです。重症化すると、後遺症をもたらしたり死にいたったりする場合もあるため、十分に注意しましょう。
ダイビングを安全に楽しむためには、スクール選びも重要です。「東京ダイビングスクール Beyond」では、全国のダイビングスクールで30店舗だけが取得している優良事業所に認定されており、高品質で安心安全のサービスを提供しています。ライセンス取得コース後はアドバイスや復習をし、安全にしっかり上達できるカリキュラムを用意しています。ダイビングスクールをお探しの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。