ダイビング中のダウンカレントが危険なのはなぜ?事故の防止策も解説

ダイビング中に発生しやすい危険な事態の1つに、ダウンカレントに巻き込まれることがあります。ダウンカレントから事故につながると、命の危険が生じる場合もあるため、注意が必要です。ダウンカレントに関する知識があれば、事前に回避し、万一巻き込まれても適切に対処できます。そこで今回は、ダウンカレントとはなにか、事故の防止策についても解説します。

ダイビング時のダウンカレントとは?

海には様々な海流があります。そのうち、浅瀬から深い海底に向かう流れが起きることを「ダウンカレント」と呼びます。ダウンカレントには弱い流れから強い流れまで程度の違いがありますが、引きずり込まれるような強さの海流が生じる場合もあります。

ダウンカレントが発生する原因

● 流れが瀬を乗り越える
● 浅瀬が急に深くなる
● 暖水塊に冷水塊がぶつかる

流れが瀬を乗り越える

大きな根や岩があるポイントでは、定期的に海流がぶつかり下から上に上がるアップカレントが発生します。瀬の上部に勢いよく流れた海流が瀬を乗り越えたタイミングで勢いよく放出され、浅瀬から深場へ向かう方向の流れのダウンカレントが生じます。

浅瀬が急に深くなる

棚があるポイントでもダウンカレントが発生しやすくなります。棚の上の流れがドロップオフに差し掛かると、ドロップオフに沿って流れが下方向へ流れ、ダウンカレントが生じます。

暖水塊に冷水塊がぶつかる

冷たい海水は温かい海水の下に潜る性質があります。瀬の上流に滞留する温かい海水が外洋から来た冷たい海水とぶつかると、冷たい水が下に潜る性質によりダウンカレントが生じます。このタイプのダウンカレントは上記2つに比べると発生率は多くありません。

ダウンカレントに巻き込まれるとどうなる?

ダウンカレントの何が危険なのか、よくイメージが付かない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、ダウンカレントが危険な理由を以下の3つに分けて解説します。
● 水深の深いところに引きずりこまれる
● 急浮上してしまう
● グループからはぐれてしまう

水深の深いところに引きずりこまれる

ダウンカレントに巻き込まれると、水深の深いところまで引きずりこまれる危険性があります。ダウンカレントに水深45mまで引きずり込まれた人の体験談もあり、大変危険です。エアーの残りが少ない時点で上昇できなくなると、命の危険も生じるでしょう。

急浮上してしまう

ダウンカレントに巻き込まれ、抜け出した直後に急浮上してしまうことも危険な現象です。耳抜きが得意な人は、急浮上していても違和感を覚えにくく気付けない可能性もあります。急浮上をすると海面のものに頭をぶつけたり、耳を傷めたりする恐れがあります。また、急浮上すると減圧症にかかるリスクが高くなるため、大変危険です。

グループからはぐれてしまう

ダウンカレントに流されてグループからはぐれてしまうこともとても危険です。ダウンカレントにより、浮上するつもりが下へ下がっていくなど、動きがコントロールできなくなる場合があります。ダウンカレントに巻き込まれそうなときは、グループでお互いを掴みあうなどして、はぐれないようにすることが大切です。

ダウンカレントを回避する方法

水中のダウンカレントは遠くからでも確認できるため、早めに発見すれば回避が可能です。魚は水の流れに向かって泳ぐ習性があります。魚が上を向いて泳いでいたら、その位置にはダウンカレントが発生していることが分かります。また、自分の排気がまっすぐ上がらずに一度下がるような動きを見せる場合もダウンカレントが起きています。

ダウンカレントから抜け出す方法

ダウンカレントに巻き込まれてしまったら、冷静に対処することが大切です。ここでは、弱め・強めのダウンカレントから抜け出す方法を解説します。
● 弱めのダウンカレントから抜け出す方法
● 強いダウンカレントから抜け出す方法

弱めのダウンカレントから抜け出す方法

弱めのダウンカレントから抜け出す手順は以下のとおりです。
1. フィンキックで水深を上げてみる
2. 難しい場合はBCに空気を入れて調整する
3. 水深を確認しながら浮上する
4. ダウンカレントから抜けた後でBCの空気を抜く
5. 中性浮力を取る

強いダウンカレントから抜け出す方法

強いダウンカレントから抜け出す手順は以下のとおりです。
1. フィンキックをしながらBCに空気を入れ水深を上げる
2. 水深を確認しながら浮上する
3. 水深が上がったらBCの空気を抜く準備をする

浮上する際は壁から離れるように斜めに浮上すると、流れが弱まる場合があります。どうしても浮上が難しい場合は、最終手段としてウェイトを捨てる選択もあります。ウェイトを捨てた場合は急浮上するため、下向きに泳ぐなどの方法で浮上速度を遅くするようにしましょう。

ダウンカレントによる事故を防止するポイント

ダウンカレントに遭遇しても、事故にいたらないようにするためのポイントは以下の4つです。
● 自分の位置を把握する
● ガイドから離れない
● 安全グッズを活用する
● 適正ウェイトで潜る

自分の位置を把握する

ダウンカレントの事故は、知らないうちに流されている時に生じやすいです。自分のいる位置として、水深やバディとの距離を把握しておくことは大切です。特に初心者や透視度の悪い海で潜っているときは、バディの近くにいるようにしましょう。水深はガイドと同じ位置か少し浅い位置にいるのが望ましいです。

ガイドから離れない

ダイビングでの事故に遭わないためには、ガイドから離れないことが鉄則です。ダウンカレントに遭遇した際に、ガイドの近くにいないと助けが遅れてしまいます。写真などに夢中になっている時は知らないうちに離れてしまうことがあるため、十分注意しましょう。

安全グッズを活用する

ダウンカレントに遭遇した時に役立つ安全グッズを用意し、使い方に熟知しておくことも大切です。以下の4つの安全グッズをご紹介します。
● フロート
● カレントフック
● グローブ
● ライト・ストロボ・鏡など

フロート

フロートは、縦長の袋状のアイテムです。空気を入れて水面に立てると、水上から見てダイバーの位置が確認できます。流れの強いポイントでのダイビングでは必ず携帯するようにしましょう。

カレントフック

カレントフックは流れのある場所で体を根にホールドするためのアイテムです。BCと岩をつなぐと、流れのなかを漂いながらその場に留まれます。珊瑚につかまる場合は、手でつかまったり、ロープを引っ掛けたりするよりもダメージが少なく、環境にも優しいです。

グローブ

グローブは岩につかまる時に便利なアイテムです。流された時にはロッククライミングをすることもできます。

ライト・ストロボ・鏡など

ライトやストロボは、透視度が悪い時に照明として使用します。また、自分の位置を知らせるために使うこともできます。鏡は電池が不要で、水面で太陽の光を反射させて使用できるため、遭難した場合にも役立ちます。

適正ウェイトで潜る

急浮上や急降下を防ぐためには、ウェイトが適性であることが欠かせません。平常時から中性浮力が問題なく取れるコンディションであるかを確認するようにしましょう。

ダウンカレント以外にもある「カレント」の種類

カレントにはダウンカレント以外にも種類があります。ここでは、以下の3つのカレントを解説します。
● アップカレント
● ロングショアカレント
● リップカレント

アップカレント

アップカレントはダウンカレントと反対に、水面に向かう流れのことです。発生する場所はダウンカレントと同じくドロップオフや根の周辺が多いです。巻き込まれると急浮上を起こしやすいため注意が必要です。

ロングショアカレント

ロングショアカレントとは並行流のことで、巻き込まれると岸と並行方向に流されてしまいます。予定していたエキジットポイントから遠ざかり、迷子になってしまう危険があります。特に水面移動をする時に影響を受けやすいカレントです。

リップカレント

リップカレントも浅瀬で起こりやすい海流です。ロングショアカレント同士がぶつかり合い、局地的な流れが生じます。岸から沖に流される場合があるため、注意が必要です。

ダウンカレントの知識を身に着けて安全にダイビングしよう!

ダウンカレントとは、浅瀬から深い海底に向かう流れが起きることを指します。巻き込まれると、深い水深に引きずられたり、急浮上したり、グループからはぐれてしまったりなどの危険が生じます。事故を防止するためには、ダウンカレントの発生を見つけたらなるべく回避し、ガイドからは離れないことが大切です。

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